旅に連れていってくれる“運命の言葉”
言葉の風水 運命の言葉(2)
言葉の氣には“呪い”の力があり魔力がある。
なぜ字が書いてあるものをないがしろにする人は“不幸”になるのか。結論から先にいうと本当に罰が当たるからです。日本や中国では古くからそう信じられています。
特に大切にするのが日本です。
日本は言葉に宿る氣を尊ぶ国。それを証明する歴史的事実があります。それは日本最初の歴史書である古事記。
古事記が書かれたことが証明ではありません。事実はその逆。それまで書かれなかったことが日本人が言葉をあがめてきた証しなのです。
■古事記
日本は漢字を中国から取り入れました。その中国には「国書」というものがありました。国書とは国が制作する自国の歴史書です。
ちなみに3世紀、日本の邪馬台国の女王卑弥呼が登場する「魏志倭人伝」と一般にいわれている書物は、魏の国書「魏書」東夷伝に記録された内容です。
国書の重要性を日本人は知っていたはずです。大陸に使節を送っていたのですから漢字が読み書きできる人もじゅうぶんいたでしょう。
しかし日本は長らく国書を制作しませんでした。7世紀奈良時代になってようやくつくられた国書が古事記でした。なぜ長らく日本では国書が書かれなかったのでしょう。理由は“呪い”でした。
■呪い
古代日本では名前(本名)を文字にすることはタブー。なぜか?「本名を知られれば呪われる原因となる」とされていたからです。
そのため天皇のことはその住まいである皇居の方角を意味する“みかど”と呼びかえました。名前を呼ばず「あちらの方」というようなものです。
国の正式記録である国書にはかならず天皇、有力者の名前が登場します。古代それらを文字にして明らかにすることは禁じられていたのです。
日本人は言葉が持つ氣の力をひしひし感じとっていました。言葉にはそういう“魔力”がある。そうした日本人独特の感受性の強さは今でも残っています。